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打ち出しとは?/ アイフル

[ 518] 後藤弘茂のWeekly海外ニュース
[引用サイト]  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0518/kaigai270.htm

そして、E3会場の展示も、メッセージ通り、Wiiの体験コーナーをフィーチャした内容とした。メッセージと展示を合致させたのが、今回の任天堂のE3だった。そして、ショウフロアを見る限り、この戦略は成功したように見える。
E3 任天堂ブースのWii試遊コーナーには連日長蛇の列ができて、一見すると列が短いように見える隣のSCEブースのPS3試遊コーナーと、目立つ対比となっていた。もっとも、公平に言えば、この列の違いの主因は展示方法の違いにある。SCEブースのPS3試遊コーナーの大半は自由に出入りできるようになっているのに対して、任天堂ブースではWiiコーナーは囲い込まれていて列につかないと入れない。PS3では、各台のところで、それぞれ人が並び混み合うが、Wiiでは入り口に長蛇の列ができるわけだ。
もっとも、任天堂にとってみれば、今回は、このメッセージを何としても押し出さなければならない事情がある。それは、プレイしてもらわない限り、コントローラを革新するという、Wiiの特性が理解してもらえないからだ。そして、その部分が理解されないと、Wiiは非常に不利になる。チップ性能では、Wiiは他の2つのゲームコンソールには太刀打ちできないからだ。
後述するが、これは戦略上の違いで、任天堂の選択としては間違えていない。しかし、任天堂にとって、こうした機能上の違いは、Wiiを売る場合に、かなり微妙な問題をはらんでいる。なぜかというと、ユーザーがゲーム機やゲームを買う場合には、絵が判断材料としてかなり重要となるからだ。
ゲームを買ってもらうための決め手は、メディアでの露出。ところが、現状ではメディアのほとんどが静止画ベースで、そのため止まった絵の綺麗さが重要となる。だから、ゲーム会社も静止画で見た場合を意識して、ゲームを作る傾向がある。しかし、Wiiは、静止画のゲーム画面で比べてしまうと、PS3とXbox 360に対してどうしても劣ってしまう。
Wiiのフォーカスは、プロセッシングパフォーマンスを伸ばしてどうこうという部分ではなく、コントロールする感覚を変えることにあるのだから、これは当然だ。しかし、現状のメディアでは、コントローラでの操作感などは、文章や言葉以外では伝えられない。ユーザーにダイレクトに伝えるのは難しい上に、メディアやWebコミュニティでのレポートにも必ず主観が入る。
任天堂にとって一番イヤな展開は、WiiのデビューとなるE3のメディア報道で、絵(ゲーム画面)だけがユーザーに伝わり、その結果、「Wiiってたいしたことないじゃん」と思われてしまうことだ。メディアが静止画である以上、そうした事態に陥る危険性は大いにある。それを避けるためには、大手メディアからWebの草の根にいたるまで、“プレイしてどうだった”という点を中心に語られなければいけない。
簡単に言えば、任天堂にとって必要なのは、メディアやE3来場者に対する、コントローラの変革というポイントについてのエバンジャライズ(伝道)だった。また、主観が入るコントローラ操作についての評価をしてもらう以上、この方針に対して来場者の好意を得なければならない。だからこその、「playing = believing」メッセージの強調で、試遊コーナーを主体にしたWii展示だったわけだ。まだ結論は出せないが、おそらくE3での、この戦術は功を奏したように見える。
今回のE3での任天堂のもう1つのメッセージは、「任天堂は過去の失敗から学んでいる」だった。任天堂が直接打ち出したわけではないが、その姿勢は色濃く感じられた。その象徴は、任天堂のキラータイトルの1つ「ゼルダ」をローンチ(同時発売)タイトルに持ってきたことだ。
ゲームコンソールについてちょっと知っている人間なら誰でも、GCの立ち上げを憶えている。GCのローンチはタイトルが弱すぎ少なすぎて、ヨロヨロの立ち上げだった。GCは結局その後も低空飛行からうまく上昇することができなかった。ゲームコンソールの場合、立ち上げでつまづくと、ネガティブスパイラルが始まるため、うまく回らなくなるケースが多い。「ゲーム機の出荷台数が少ない→ゲームパブリッシャが消極的になる→タイトルが揃わず、ゲーム機の出荷が伸びない」というスパイラルだ。
もっとも、ゼルダのWiiローンチにはちょっとシカケがある。このリアル版ゼルダは、2005年の段階ではGC用の2005年末商戦向けキラーとして紹介されていた。それが、年末をスリップし、どうなるかと思っていたらWiiとGCの同時発売になった。つまり、任天堂はGC向けに開発していた目玉タイトルを、持ち越してWiiに乗っけたというわけだ。GCをいまさらブーストしてもしょうがないと判断しての戦術とも言える。
これが可能となったのはGCとWiiのハードウェアに共通性が高く、開発環境面も似通っているからだと推定される(Wiiタイトルの開発をGCの開発環境でスタートしたというサードパーティの情報もある)。チップアーキテクチャでの飛躍が少ないというWiiの弱みを強みに転じて、初期タイトルでユーザーを惹きつける戦略とも言える。
任天堂は、今回、Wiiのコントローラをプレイアブルで出展、それに伴って、これまで明かされていなかったコントローラの技術についても明瞭になった。
Wiiの無線コントローラでは、データ通信はBluetoothを使うが、相対位置の測定自体は赤外線で行なう。TVの上下どちらかに専用の赤外線アレイのバーを設置して、それをWiiに接続する。この方式だと、TV画面サイズとのキャリブレーション設定も必要になるはずで、やや面倒があると想像される。
これまで、Wiiについては、コントローラ単体で位置測定を行なうためにどんな技術を盛り込むのか、色々と推測されていた。しかし、ベールをはいでみれば、最も単純な仕組みを取っていたことになる。肩すかしを食った格好だが、良くも悪くも任天堂らしい。コントローラに複雑でファンシーな技術を持ち込むより、実証された技術で手堅く行くという発想だ。
またE3では、コントローラの“もう1つの秘密”だったスピーカー機能についても公開した。コントローラ側からも音を出すことができるシカケだ。「スピーカーがついてるコントローラは見たことがなかった」と言っていたデベロッパもいたので、これは任天堂の社内だけの秘密にされていたのかもしれない。
コントローラ自体については、すでに多く語られているので、ここでは説明しない。1つ言えるのは、新コントローラはプレイを単純に簡単にするというより、プレイのスキルを変えることを意味していることだ。これまでのゲームコンソールは、両手持ちでボタン操作式のコントローラに、いかに習熟するかがプレイのカギだった。Wiiのコントローラは、その束縛からいったん離れて、新しくスタートする。今までのコントローラに慣れていると、最初はかなりとまどう場合も多い。「誰もが簡単にプレイできる」というより、「新しい方式で一からやりましょう」的な雰囲気が強い。
これは任天堂の意図しているところでもあるようだ。任天堂のラウンドテーブルでは、宮本氏が「リセットです。全世界の人が同じレベルに立ってこれからもう一回ゲームを楽しみましょう」と語った。つまり、コントローラを“リセット”し、ここから新しいスキルを積み上げようというのがメッセージだ。
ゲーム業界の外から見ているとわかりにくいが、ゲームコンソールではコントローラが重要なカギとなっている。極論をすればコントローラでそのゲームコンソールが決まってしまうと言っていいほど重要だ。そのコントローラを軸に、リセットしようというメッセージを出すところが、ゲーム屋である任天堂らしい。
コントローラをリセットしようというのは、ゲームデベロッパにとってのメッセージでもある。任天堂がWiiのコントローラについて説明を行なった2005年秋以来、Wiiでゲームを作りたいという声は、デベロッパの間で強まっているように見える。
任天堂としては、Wiiで再びサードパーティをプラットフォームに集め、エコサイクル(生態系)が回るようにもって行きたいところだろう。E3のブリーフィングでも、岩田聡氏(代表取締役社長)は最も重要なのはソフトウェアであることを強調した。
ただし、任天堂がゲームタイトルを惹きつけるためには、個々のデベロッパの支持を集めるだけでは足りない。ゲームパブリッシャがゲームタイトルを任天堂プラットフォームに投入する気にさせなければならない。よく聞くのが「自分としてはWiiはやってみたいけど、会社が絶対やらせてくれないだろう」というデベロッパの声で、任天堂の次のチャレンジはこのあたりにある。つまり、任天堂プラットフォームで儲けられることを、納得させる必要がある。
任天堂はSDTVまでのサポートとすることで、その重圧から逃れた。任天堂がハードをシンプルかつ低コストに保つためには、HDTVサポートは今回は見送る必要があったわけだ。
最後に、E3での任天堂にはもう1つメッセージがあるように見えた。それは、“任天堂”という呪縛から自社を解き放とうという姿勢だ。任天堂は、今回、ゲーム機に“ニンテンドー(Nintendo)”を冠さない名前を選んだ。Wiiという馴染みのない造語だけがブランド名だ。これは、任天堂ブランドから一歩出て、任天堂自身が変わって行こうとしていることを意味しているのかもしれない。

 

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