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生産とは?/ ディック

[ 383] 生産管理講座
[引用サイト]  http://www1.harenet.ne.jp/~noriaki/link7.html

生産とは、販売に対応した経営機能のひとつであり、市場、顧客からの要求に応じて、目的とする機能と品質を持った商品を、経済的に(安く)、納期どおりに作ることである。
つまり、「一定の品質と数量の製品を、所定の期日までに生産するために、企業の資源、すなわち人的労力、機械設備、材料などを経済的に運用させること」である。
自動車会社を含む自社製品を生産する企業は、下記のようなビジネス・オペレーションのサイクルを持っている。
その場合、開発部門は良い製品を作れば売れるだろうという製品志向に陥り、自分たちが開発したいものを開発する傾向が大きかった。
販売部門は、何もしなければ消費者は製品を買ってくれないので、攻撃的な販売促進を行なう販売志向に陥ることが多かった。
更に、大量生産、大量販売できる商品開発として、短期の流行(fad)を強く意識した商品開発を行なってしまう。
現在では、3者が独立したような組織より、マーケティング・システムの中で3者が密接に対応しなければならない。
『転写』をキーワードとして、開発部門、生産部門、販売部門を川の上流と下流に喩えて、直線的な(リニアー)モデルを主張する人がいる。
更に、生産部門においても自分たちの仕事が消費者や社会と結び付いているのかわからなければ、やらされ感のみが強くなる。
1人ひとりの消費者の消費行動が、非常に幅広くなっている。消費者は生活場面において、それを使い分けている。
1980年頃までの『工業化社会』では、『いいものを安く』と表現されるコストと品質がビジネス・オペレーションの中で重要な要素であり、生産および生産管理がビジネス・オペレーションの中で重視されていた。
たぶん、その時の日本の製造業の強さ、つまり、日本のもの造りの強さは、次の3つの要素が合わさった結果であろう。
欧米の日本産業の研究で、表面的に見える生産部門に焦点があたり、日本のものづくりの強さを製造部門そのものと誤解してしまった。
それに伴って、日本のものづくりの強さを生産と言う狭い意味に捉え、世界に学ぶものはないという風に傲慢になった。
日本のもの作りの強さとは、仕上げの丁寧さとか商品そのものが持っているセンスやアイデンティティのことである。
管理サイクルとも継続的改善とも呼ばれているPDCAは、必要に迫られて、受け身で行なっても効果はでにくくなっている。
PDCAは目標に向かって能動的に仮説をたて、その仮説を検証し、何が間違っていたか実証し、直していかなければならない。
経営においても、世界に広く目を向けていることによって競争力を保持してきたのに、傲慢になり内外の企業の行動について学習しなくなった。
欧米企業の製品をマネするなと言われ、内外の企業がどのような経営をしているかも注意を払わなくなってしまった。
ここで注意しなければならないことは、トヨタ自動車は単に安いクルマを作っているわけではないことである。
第一の観点は、一般に中小企業が大企業に成長する段階で、成り行き管理を排して科学的管理への移行や、責任と権限の分散等がある。
折衷案として社長の持つ理想を企業理念とし、社員のアイデアによって事業を進めることであり、そのために組織や人事制度を変えていくのである。
ひとつ目が年々厳しくなる経営環境に適合して、管理水準を上げて行かざるを得ない競争環境への適応である。
1980年頃までの生産能力不足の時代は、作れば売れ、生産さえしていれば経営がなりたっていた幸運な時代であった。
それが一転して生産能力過剰の時代になり、消費者にとって個人の欲求をより実現しやすい環境になり、企業の競争は激化してきた。
それに対応して、IEやQC中心の生産現場中心の管理から、原価企画や企画・設計段階のVE等の消費者対応中心の開発に重心が移った。
世界的な視点を持って、消費者のニーズに基づいて開発されたものでなければ、良い商品は開発できなくなった。
情報時代の第一の特徴である「顧客主導」は、これまでいわれた「顧客志向」とか、「お客様第一主義」のような言葉とはレベルがまったく違います。
「顧客のことを考えましょう」といっていれば済む時代ではなく、顧客が自分の望むものを決める時代になっているんです。
「消費者はいまや、多種多様かつ大量の情報を獲得していて、自分のほんとうに望んでいるものが何であるかを知っている。
大量生産・大量消費型の時代とは違って、供給者側が出した商品やサービスが消費者の望んでいるものと少しでもずれていれば、消費者は見向きもしない場合が多いのです。
そのために顧客のニーズに対応した製品開発やマーケッティングを細かく行ない、生産オペレーションを適合させる必要がある。
現在マーケッティング管理の下で、開発、調達、生産、販売の全体の最適を考えたうえで、適切な生産管理を選ぶ必要が出てきた。
多くの企業が成功を収めるために最大の制約になっているのは、『部分最適化をベースにしたルール』を持ち続けていることである。
例えば、自動車メーカー等が採用している機能別組織が部門の壁を構築し、派閥化して、部分最適を追い求めている。
このような状況で、改善活動に取り組む人も少なく、数字合わせの改善活動になったり、改善活動に妨害も入りやすい。
企業の成長要因を別に持っていて、他社からシェアを奪える能力のある企業は改善活動をうまくやることができる。
しかし逆に、企業の成長を改善に依存している企業は、上記の理由により改善活動をうまく行なうことができない。
開発−生産−販売のビジネス・オペレーションの中で、企業全体として価値を生む組織への移行が重要になっている。
販売をボトルネックとして生産管理を連動させる技法であり、『客から仕事を獲得するうえで、製造現場で何ができるか?』を目指して、工場全体での最適化を図るものであった。
特に、業務プロセスや人事システムが、『部分最適化をベースにしたルール』である場合、企業は致命的な損害を被る。
当初、SCMは製造部門を中心に考えられたため生産指向の手法として運営されたことは、残念なことである。
これを表す最適な言葉が、『品質は工程で造り込む』に代わって、『品質は設計で造り込む』という言葉である。
自動車メーカーからは大量発注と設計の自由と向上のもと、部品会社にとっては当初からのコスト削減が求められるようになった。
デジタル・イノベーションに見られる設計、金型や機械の精度を上げることによる、設計で造り込む製造品質こそが評価されている。
日本のものづくりの強さは、知恵を使って低コストで生産方法や機械・器具を改良して、低コスト・高品質な製品をつくることにある。
野中郁次郎氏の提唱するSECIモデル(共同化、表出化、連結化、内面化)は、全く新しい知見を発見するのではなく、新しいモノの見方や考え方、切口といったものを提供してくれる。
人材は企業が持つ最も戦略的で、最も重要な経営資源であり、日本の風土にあった人材開発の方法が知識創造企業であろう。
何十年も前、まだ素朴な製品を作っていた日本企業は、デミングの総合品質管理の原則を採用し、それを国際的な品質管理運動にまで昇華させた。
日本企業は、かつてコストや品質についての考え方を改めたのと同様、戦略についての考え方を一新しなければならない。
すなわち、競合他社の真似ではない独自の戦略をどうやって作り上げるか、産業構造をどう理解するか、情報技術の力をどうコントロールするか、企業の境界を再定義して多角化を考え直すにはどうすればいいのか、といった課題である。
日本企業は、ライバルよりオペレーション効率の点ではるかに上回っていたから、おざなりの製品を作っていても競争力があった。
しかし、欧米企業にオペレーション効率をキャッチアップされて、おざなりの製品では競争力がなくなった。
競合する企業が、効率のよい外部企業に活動をアウトソーシングしていけば、アウトソーシング先が重なり、その活動は似たりよったりになってくる。
品質改善やサイクル・タイム短縮、供給業者との提携などをお互いに模倣すれば、戦略は同じものに収斂していく。
オペレーション効率のみに立脚した競争はお互いを傷つけるだけであり、競争を制限することでしか止めようのない消耗戦になってしまう。
1980年代に日本の製造業の品質の高さとコストの低さで世界を席巻したため、現場主義の考えが歪められてきた。
工場での生産は、コンピュータのプログラムと同じで、本来計画どおりに実施できる仕組みでなければならない。
人間の消費行動はほとんど解明されていないにも係わらず、工場の生産と同じようにコントロールできると考えてしまった。
『オペレーション効率は良い』というのは国とか地域を対象とした競争優位であり、これをそのまま個別企業にあてはめることはできない。
『オペレーション効率は良い』と言っても、企業が生産する製品の背後にある深く根付いた能力と言われるコアコンピタンスではない。
コアコンピタンスは、特定の戦略を選択し、その戦略に要求される能力は適切な教育と訓練によってのみ獲得することができる。
オペレーション効率によって、いかなる製品も低コスト・高品質(高信頼性)で作れることによって、おざなりの商品を作ってしまい、若者離れを引き起こしてしまった。
理論どおりに生産できる製品は、生産管理のノウハウは生産機械やそれに付随するソフトウェアに吸収される。
また、消費者の欲求に短納期で対応している製品では、商品開発、生産、販売を高度につなぐITが重要になる。
そのための道具が『5S』とか『目でみる管理』であり、どこにムダがあり、渋滞があるのかを見えやすくする。
『目でみる管理』の最終的な目的は、生産現場をどのようにキャッシュフローが流れていることを見ることである。
作業の安全活動という後ろ向きの仕事しか行なわず、工場のスリム化・効率化を行なおうとしていないこともある。
動的には、作業工程がひとつの流れになっていれば、工程間をどのように仕掛品が流れているのが見てわかり、作業の進捗状況がよく分かる。
同様に、標準作業と標準時間を設定し、計画を立てて生産すれば、現場のまかせの体制よりは多く生産でき、生産性が上がる。
『目で見る管理』とは、生産する側も、管理・監督する側も、同じ尺度で現場・現物を見て同一の認識に立ち、全員が知恵を出して改善を行うことである。
つまり、誰が見ても現場の作業の状態が分かる、生産が遅れているのか進んでいるのか、品質不良が出ているのかいないのかがわかる仕組みの事である。
これによって、改善の途中経過を知り、改善の意欲を引き出し、改善過程を他のグループに示す事によって、改善ノウハウの共有を狙ったものである。
顧客の価値観や好みによって、多品種少量生産を前提としなければ、企業は生き残っていけず、そのためにも5Sは重視されてきている。
5Sの中で最も重要なのは、“躾”である。命令によって服従させることでなく、5Sの重要性を心から理解し、自然に実践できることである。
最近、『トヨタ式生産力』では因習的な語感のある躾を、スマイル・センシブル(気配りのある)に置き換えている。
5S活動の一環として、作業エリアと通路を白線を引いて分けることもよく行われる。その時、作業エリアと通路を色分けすることもある。
これは部品等の運搬中に、作業者に接触することによって直接・間接の労働災害を予防する安全対策にもなっている。
また、工場の床はコンクリートを打っていることが多い。コンクリートはタイヤの摩擦等によって表面が剥離して、ホコリが立ちやすい。
5Sができたかどうかは、官能的な評価に頼らなくてはならないので、5Sモデル区域などを設けて、5Sをどこまでやれば良いのかの見本を作ることも大切である。
部品・製品置き場は通路に対して垂直に区分けをし、置き場は奥行きを深くするより、間口を広くし奥行きを短くする方が使いやすい。
工程管理は“納期を守る(遅れない)”だけでなく、“注文に応じて生産する”という在庫を持たないことが要請されている。
つまり、競争激化と消費者の価値観の多様化により、製品を持つことのリスクを減らすこと、つまり、キャッシュフローを使わないこと要請されている。
S(安全)は人間尊重の方向を意味するもので、危険や災害の防止として職場の安全・衛生等の作業環境と、公害防止やリサイクル等の地球環境問題をも含んでいる。
仕事において、自分が主人公であると実感できるシーンをどれだけ持つことができるかが、活性化のポイントです。
いきいきと仕事に取り組めるキーファクターは、「重要な仕事」が「自分に任され」ていて、しかも「仕事に変化がある」ことです。
このような意味で、各人をヒーロー・ヒロインとするシーンをいかに多く提供してやるかが管理者の大きな目標となります。
設備管理のねらいは、設備を通して生産性の向上(生産停止時間の減少、不良の減少、保全費の節減など)を図ることにある。
生産方法は単にモノを作るのではなく、与えられた資源を有効に活用し、品質、コスト、納期の目標を達成するために最適の方法を選定する。
それを誰にでも容易かつ正確に実施できるようにするために、生産方法を明確化し、技術標準から作業標準という順序によって具体的に定められる。
これは5S等の情報整理の道具ではなく、IEのムダとりやTOC(制約条件の理論)と同様に改善の手段を直接示したものである。
単に減らすだけでなく一定の種類、内容のものに統一する(作業方法も一定化、明文化する)。つまり、作業の容易化や、原価の引下げに役立つ方向にまとめていく。
その代わりに、作業や製品について技術的、品質的に特徴を打出し、同業の誰にも負けないような優位性を獲得する。
単純化は生産管理のみならず、管理の基本である。製品にしろ工程にしろ単純でわかりやすいことが、ムダを省き改善を進めやすくする。
つまり、マス・カスタマイゼーションの概念のように、専門化する部品は徹底的に専門化させ、共通化する部品を増やしていくことができる。

 

[ 384] 生産管理講座 - トヨタ生産方式
[引用サイト]  http://www1.harenet.ne.jp/~noriaki/link71-1.html

トヨタ生産方式の全体像は、いまだ公開されたことなく、“トヨタ生産方式”を標榜するコンサルタントによって断片的に知ることができるだけである、と言われている。
1980年代にアメリカで行われた日本の自動車産業研究でも、トヨタ生産方式を理想化し、リーン生産方式と名づけたが、トヨタ生産方式を理解しているかどうかは疑問である。
こんなエピソードがある。かつて米ビックスリーの1つだった旧クライスラーの会長兼最高経営責任者(CEO)のロバート・イートンは、94年の年頭会見で、「我々は日本メーカーに負けない生産効率を実現した。もはやトヨタに学ぶものはない」と発言した。
コンサルタントを雇ってトヨタ生産方式を自社工場に導入し、大幅な生産性向上を果たすことに成功したからだ。
その数ヵ月後、クライスラーの1人の幹部が「トヨタ生産方式を完全に学びとったかどうか確かめたい」と、米ケンタッキー州にあるトヨタのケンタッキー工場を訪問。朝早くから丸1日かけて念入りに視察した上で、帰る間際にこう漏らした。
「今日はほんとうに疲労困憊した。クライスラーはまたトヨタに何も学んでいないことがはっきりと確認できたよ」(32ページ『トヨタはどこまで強いのか』)
しかし、日本企業の業績の低下が激しくなっている最近の状況を打破するために、トヨタ生産方式の全貌が明らかにされつつある。
IEは単なる技法という面が強いが、トヨタ生産方式は“儲ける”という意思の入ったものの見方・考え方である。
トヨタ生産方式には、既に顧客思考という考えが入っていて、顧客が望むならばコストアップもいとわないという面が、単なるIEとは根本的に異なる。
言い方は悪いのだか、本田技研の創設者の本田宗一郎氏が、金儲けがうまいエンジニアと呼ばれたことがある。
トヨタ生産方式は単なるカンバン方式等の手法でなく、社員の、ものの見方・考え方であり、行動様式(マインドセット)そのものである。
「看板方式」などの技法を通して、トヨタ生産方式の『ものの見方・考え方』を習得するやり方をとっている。
トヨタ生産方式に共感して能動的に仕事を行なうことが重要であり、トヨタ自動車が終身雇用にこだわる理由もここにある。
「どこが秘密だ、もう十分世界的に有名じゃないか」と思われるかもしれませんが、これが単なる生産システムだと認識している限り、トヨタという会社の本質を理解したとは言えないでしょう。
世界のトヨタマンの体に組み込まれたDNAなのです。このDNAを私は「不断の努力で自分を高めていく意思」と理解しています。
製品の質を高める、顧客に心から満足してもらうために自分を磨く。これは当然、楽ではない、厳しさ、苦痛を伴うのも確かだ。
常により良いものを追う姿勢がいかに人間の成長にとって大切なのかを理解し、それを自分の仕事に応用できたのです。
なぜなら、1つの小さな成功は次の改良に向け良いスタートを切ったに過ぎず、さらに良い方法はないか、改善できるところはないかと進んでいくからです。
この不断の努力を社員のやりがい、生きがい、喜びに変えてしまうところが、トヨタとほかのシステムの決定的違いと言えます。(28〜30ページ『トヨタはどこまで強いのか』)
中級者になると、問題を顕在化させ、生産性向上、品質向上を強制するメカニズムが含まれていることだという。
しかし、上級者は何と言うか。問題を顕在化して解決する作業を繰り返すうちに、問題がない状況が不安になって、みんなで一所懸命問題を探し始めることだ」
ジャスト・イン・タイムは、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」という生産に流れを作ることである。
トヨタ生産方式は、どこまでも「消費者を第一」に考える、マーケット・インの思想によって貫かれたシステムであるという発想である。
自動車以外の他の業界では、ジャスト・イン・タイムをカンバン方式以外で実現しても、それはトヨタ生産方式である。
つまり、「ジャスト・イン・タイム」のバックボーンとして、トヨタ自動車が第二次世界大戦後に在庫を抱え過ぎて倒産しかかった経験があると考えられる。
不確実性のコストの増加の回避は、売れるか売れないかわからないクルマは生産せず、売れるクルマのみ生産することである。
それはクルマに限らず部品にもあてはまり、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」という思想によく現されている。
したがって生産現場にとって『必要数』とは与えられる与件であり、勝手に数量を増減することができないことは明らかである。
大量生産とスピードアップによる生産性向上よりも、1個流しや段取り時間の短縮によって切れ目なくモノが流れるシステムによる生産性の向上を図ったのである。
例えば、自動車の組立ラインでは、各工程の組付け作業に必要な部品が、必要な時に、必要な量だけ、その工程に到着しなければならないということであり、部品の到着が早すぎても、遅すぎてもいけないのである。
後工程引取り方式はよく考えられた方式である。スペース節約のために引取り部品の置き場は限られている。
後工程引取り方式の利点を持ってジャスト・イン・タイムを実現するための管理の道具が、『かんばん』である。
かんばんにとって重要な点は、情報の流れとモノの流れを一致させることである。それも部品補充の情報が、コストをかけずにモノに付随して流れることである。
コンピュータにかかる費用が劇的に低下した今、電子かんばんシステムに移行しても、かんばん本来の機能に変更はない。
ここで組立ラインでは1台ずつ流れ生産を行なっており、鋳造やプレスではロット生産を行なっているから、同期化を図るためには、段取り時間の短縮によりロットサイズを極力縮小することが必要である。
段取り時間の短縮は直接コスト削減を目標としているわけでなく、売れるペースで生産を行うためにネックとなる段取りコストの増大を減少させるためにある。
トヨタでは、月次の生産計画を立案しており、月次生産予定として各工場や協力メーカーに伝達されるが、日々の各工程への実際の生産指示は、最終組立ライン1箇所に伝えられ、他は順次工程が前工程から必要なものを必要な時に必要な量だけ、かんばんを使って引取ることによって行なう。
生産の平準化とは、最終組立ラインが部品を前工程から引き取る際に、各部品の量と種類を平均化して消費するように、いろいろな車種を混流生産することである。
在庫削減の本当の意味は、製造現場の問題点を顕在化させ、問題解決の改善活動を通じて製造上のムダを排除し、製造コストを下げるには、キャッシュフローの節約が大切であり、少人化が重要である。
少人化とは、同じ生産を行なうために必要な作業者の人数を減らすことをいう。計算上0.1人とか0.5人減ったというのは少力化であって少人化ではない。
少人化の代表的な例は、設備面では機械の工程別配置とU字型の機械レイアウトの採用である。これによって需要量の増減に応じて投入する作業者数を増減し、サイクルタイムを調整する。
多能工が複数の機械を取り扱う手順などを示したものが標準作業である。標準作業は、標準作業組合せ票と標準作業票にまとめられる。標準作業には、サイクルタイム、作業順序、仕掛品の標準手持ちが表示されている。
ここでサイクルタイムとは、各生産ラインが1つの部品(または製品)を何分何秒で作らなければならないかを示すものである。
カンバンは、トヨタ生産方式のジャストインタイム生産を実現する管理の道具である。これはスーパーマーケットからヒントを得て考え出されたものであると言われている。
スーパーマーケットは、客にとって、必要とする商品を、必要な時に、必要な量だけ買うことができる店である。
生産現場においては、この考え方を利用して、前工程(スーパーマーケット)へ後工程(客)は、必要な部品(商品)を必要な時に必要な量だけ引取り(買い)行く。そして、前工程は引き取られた量だけ生産補充する。
このように、カンバン方式は作り過ぎを防止しながら全体としてジャストインタイムを実現する道具であるが、
カンバンは、その用途から生産指示のための「仕掛けカンバン(生産指示カンバン)」と、後工程から前工程への部品の運搬指示に使われる「引取りかんばん」に大別される。
仕掛けカンバンには、組立てラインなどで使う通常の「工程内カンバン」とプレスなどで使う「信号カンバン」がある。
また、引取りカンバンには、社内の「工程間引取りカンバン」と外注部品の「外注部品納入カンバン」がある。
CRPは、小売業とメーカー・卸との間で、小売業のPOSシステムを活用してセンター在庫・発注管理する方法である。
CPFRは小売業とベンダーが協働して需要予測を行いそれに基づき在庫管理行う、一層精緻化した手法である。
電子カンバン方式ではカンバンの返却を電送で送るだけでなく、POSの代わりにALCの使用予定によって、部品納入時間を変更するようになるかもしれない。
また、自動車メーカーと部品メーカーが協働して自動車そのものの販売予測をすることはないだろうが、オプションの装着率の予測をやるようになるかもしれない。
トヨタ生産方式の本質は「流れをつくる」が基本であり、「多数台持ち」よりも「多工程持ち」の実現に努めている。なるべく流れるようにつくるということである。
それによって仕掛り在庫も削減できる。そのためには1人の作業者が旋盤からフライス盤、ボール盤など、多くの仕事に対する能力が要求される。
実際にフロー・ショップでの作業はチームを組んで行っている。陸上競技のリレーには必ずバトン・タッチの区間がある。上手にバトン・タッチすると、4人が別々に走った記録を合わせたよりも大分よい記録を出すことができる。
仕事でも同じことで、4人なら4人、5人なら5人でやる場合に、部品をバトンだと思って手渡しなさい。後の工程の人がもたついて遅れた場合には、その人の持ち分と思われる機械の取り外しをやってやりなさい。
そして、その人が正常の配置に戻ってきたら、すぐバトンを渡して自分のところへ戻りなさい。このチーム・ワークのことを「助け合い運動」と呼んでいる。
まず、作業改善、それから設備改善を考える。作業改善だけで半分、あるいは3分の1になるはずである。ついで自働化なり設備改善をやることにする。繰り返すが、作業改善と設備改善とを混同しないように注意していただきたい。
ただのムダの排除でなく、在庫(仕掛品、製品、機械設備)を減らすことによって、徹底したムダの排除を行なうのである。
トヨタ生産方式では、ムダとは「付加価値を高めない、いろいろな現象や結果」をいい、7つのムダを定義している。
それでなくてもトヨタ生産方式では「運搬」や「探すこと」はムダな作業と考えるが、IEでは必要な作業と考えてしまう。
そのため、カンバンや差立板によって、作業者が考えなくてもカンバンを見れば、次に何を生産すべきかわかる仕組みになっている。
トヨタ生産方式では「探したり」「迷ったり」しないように、情報がカンバンに付いて動く仕組みになっている。
徹底したムダの排除を行うために、「見える管理」が重視されている。ムダは見えなければ(認識されなければ)、削減することができない。
トヨタ生産方式は直接品質向上やコスト低減という成果(結果)を目的とせず、ムダの排除というプロセス重視の考えを持っている。
成果(結果)は運に左右される面が大きい。成果(結果)を重視すれば、成果が出ない時は運が悪いということで、最大の努力が引き出せない。
その半面、ムダの排除という努力を基準に考えれば、成果が大きい時や小さい時の変動はあっても、長期的にみれば最大の成果を引き出せる。
この地道とは最大限の努力(プロセスの向上)を行うということで、成果は景気の良し悪しや運によって左右されるので、一喜一憂しないというものである。
生産プロセスに品質の向上、つまり“品質はラインで作り込む”、言い換えれば、徹底したムダの排除を行っている。
能率の向上は、原価低減に結びついて始めて意味がある。そのためには、必要なものだけをいかに少ない人間で作り出すかが重要である。
能率を、1人ひとりの作業者、それが集まったライン、工場全体、それぞれの段階で能率向上がなされ、その上で全体として成果があがる見方で能率アップが図られなければならない。
「つくりすぎのムダ」は「つくりすぎを押さえる働き」がないことから「目で見る管理」や「カンバン」方式に発展していった。
カンバン方式という技法よりも、「必要数だけしか造ってはいけない」というジャスト・イン・タイムこそが重要である。
将来、カンバン方式を使用しなくなくなっても、ジャスト・イン・タイムの思想が生きている限り、トヨタ生産方式は健在である。
ジャスト・イン・タイムは、加工待ちの「工程待ち」、ロット単位の加工の終わる「ロット待ち」、他の部品を待つ時間をなくする活動でもある。
1人1人の作業者でみても、ライン全体でみても、本当に必要なものだけを仕事と考え、それ以外をムダと考えるならば、次の関係式が成り立つ。
もし作業を全体の流れに基づいて一度バラバラに分割し、のちにその各部分を部分ごとにほんとうに理想的な形に修正し、ふたたびひとつの流れに統合することができさえすれば、その作業グループは、真に最高の遂行能力をもつことになる。
量産しなければ利益のでない体質を持った企業が、量産を維持するため、無理な販売を行なって自滅していった。
最近は機械が高性能・高速化しているので、何かちょっとした異常が起きた場合、例えば、機械の中に異材が混入したり、スクラップづまりをして、設備や型が破損すると、何十、何百という不良の山を瞬く間に築いてしまう。
このような自動機械では、不良品の量産を防止することもできず、また機械の故障を自動的にチェックする働きも組み込まれていない。
自動織機は、経糸が1本でも切れたり、横糸がなくなったりした場合、すぐに機械が止まる仕組みになっている。すなわち、「機械に善し悪しの判断をさせる装置」がビルド・インしてあるのである。
例えば、「定位置停止方式」とか、「フルワーク・システム」とか、「バカヨケ」その他、もろもろの安全装置が知恵として付加されている。
この自動機にニンベンをつけることは、管理という意味も大きく変えるのである。すなわち人は正常に機械が動いているときはいらずに、異常でストップした時に初めてそこへ行けば良いからである。
例えば、機械加工の工程において、縦に旋盤、フライス盤、ボール盤といったように、生産の流れにそって、各々5台ずつ並んでいたとする。
ここで1人の作業者が旋盤5台扱うことを「多数台持ち」といい、このような職場の編成をジョブ・ショップという。
それとは別に、1台の旋盤、1台のフライス盤、1台のボール盤といったふうに1人の作業者が、多数の工程を担当することを「多工程持ち」といい、このような職場の編成をフロー・ショップという。
このように多数台持ちや多工程持ちを実現するには、機械が加工完了で止まるようになっていなければならないとか、異常が発生した時にそれを発見して安全の側にとまらなければならないという要求が出てくる。
ある手作業ラインで異常が発生した場合、作業者はストップボタンを押してラインを停止させることができる。ラインが停止すると『アンドン』と呼ばれる表示板が点灯する。
この表示板を見て管理者や監督者は異常を確認し、原因の対策を行なう。ここで重要なことは、二度と同じ異常が発生しないように真の原因をつかみ、徹底的な対策が施されることである。
また、このあんどんに代表されるように、生産状況の正常・異常が目で見て瞬間にわかるようにする方法を『目で見る管理』という。かんばんや標準作業なども目で見る管理の方法である。
「自働化」は単に「自動停止装置付き機械」ではなく、源流管理の考え方である。糸が切れる時はムダが始まる時、作業者のムダが始まる時ストップボタンを押す。
もうひとつの本質は、人の作業と機械の作業を分け、機械でできる作業を人にはやらせず、機械でできない人が行わなければならない仕事を担当させる。
トヨタ生産方式は目で見て問題がはっきりしない場合に、「5回のなぜ」を繰り返して、原因の向こうに隠れている「真因」を突き止めるという、きわめて科学的な態度を積み重ねてつくり上げられてきた。
このことはトヨタ生産方式はただ単に改善することを目的にしているのではなく、改善を行える人を育てることを目的にしているからである。
しかし、「5回のなぜ」は辻褄合わせなら簡単にできるが、本当に実践するには原理・原則を理解していなければできない。
何かトラブルが起きた場合に、不具合の発生箇所だけに目を向けるのではなく、異常を引き起こしている真の原因、つまり「真因」にたどり着くまで、「なぜそうなったか」徹底的に考えよという意味だ。
「現地で、現物を見て、現実を知る」ことが目的ではなく、因果関係を考えるひとつの手段にすぎないのである。
人間の「知恵」を信じるだけでなく、いかにして知恵を発揮する機会を現場で働く人に与えるかが重要である。
トヨタ生産方式の神髄は、「社員1人ひとりが、自分の仕事のやり方について、問題点を見つけて、解決し、改善をしていくチャンスを与えられ、社員が一体となって、より優れた企業をつくるために働いている」という点にある。
作業標準は生産変動によって、作業者を異動しても直ぐに作業できることを目的として作成されるマニュアルとしての機能を持ち、品質を保つ。
トヨタ生産方式では、熟練度の低い新入り作業者について、「3日間で一人前にする」ことが目標となっている。
大野耐一氏が作業標準書の必要性を最も感じたのは、第二次世界大戦中に生産現場の熟練工たちが召集令状によって抜けていった時であった。
上から言われた内容を黙々とやるだけでなく、たえず現場の人間は標準作業をモノサシに、自分で考え、自分で解決していける。
作業標準書は現場で作業する人や作業を指導する指導者が責任を持つ必要があり、現場の人たちをまきこんだ改善が必要となる。
この過程は長年の経験によって行っている作業を暗黙知から形式知に転換すると同時に、作業改善を行う人たちを教育する場でもある。
限られた製品しかつくれないのではなく、新製品でも何でもすぐに作れるだけの多能工場でなければ、これからの時代は生き残っていけない。
『リーン生産方式が世界の自動車産業をこう変える』では、トヨタ生産方式を理想化してリーン生産方式として書かれていると言われている。
『顧客の創造と維持』に投資を集中させ、効率化に対して徹底的にコストをかけず、投資を行なわないものであった。
『トヨタ式人づくりモノづくり』の冒頭に、大野耐一氏が米国ケンタッキー工場に赴任する張富士夫氏に、「張は、売れているときのやり方を知らないから」とアドバイスした話しが載っている。
トヨタ生産方式に共感し、自立的に仕事をする人を採用、配置、育成するシステム全体が、トヨタ生産方式である。

 

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